Olympus XZ-1 レビュー



2012-06-25

登場から1年以上たっており、需要は少ないと思われるがRICHO GX100の後継としてこの機種を購入したのでGX100との比較を中心に簡単にレビュー。

・GX100の後継として購入
・メインはE-P3で、サブや身軽な撮影のために使用
・基本的にRAW撮影でLR3現像

という偏った使い方でのレビューになります。

スペック



詳細なスペックはメーカーサイトを見ていただくのが一番。
Olympux XZ-1 公式サイト
RICHO GX100 公式サイト

撮影素子



GX100と比べた場合、画素数はどちらも約1000万画素で同一。
素子サイズはGX100が1/2.3に対しXZ-1が1/1.7で大型化。
素子レベルでは単純に世代差と同一画素数での大型化で単純な高画質化が期待できる。

レンズ



レンズスペックではGX100が換算24-72mm(F2.5~F4.4)、XZ-1が28-112mm(F1.8~F2.5)。
GX100ほうがワイド寄り。この差は結構体感でも大きく、GX100に慣れた身ではXZ-1を構えた瞬間に「あ、狭い」と思うことがある。
だが、明るさは圧倒的にXZ-1のほうが上。素子とプログラムの世代差による高感度能力の向上とともに、暗所撮影に大きく有利になっている。

レンズによる違いとして大きく変わってくるのはマクロ機能。
GX100はマクロに強いRICOHだけあって72mm端でも最短1cmに寄れるというある種変態スペック。
XZ-1もスーパーマクロで1cmまで寄れるが28mm限定。28mm以外の領域ではワイド側で30cm、ズーム側で60cmと平凡。

サイズ



ボディサイズ的にはGX100が111.6mm(W)×58.0mm(H)×25.0mm(D)、XZ-1が110.6mm(W)×64.8mm(H)×42.3mm(D)。
こう書いてみるとGX100に対して随分厚く感じるが、実際のところ占有する面積を直方体としてみた場合、ほとんど変わらない。
GX100はレンズの部分を「突起」とみて厚さをカウントしていなのかも。

水平器



個人的に欲しかった水平器はGX100もXZ-1もなし。
ただしXZ-1は撮影時に縦・横をEXIF記録する機能があるので写真管理時には便利。

評価



GX100からXZ-1に乗り換えるにあたってネックになるのは「24mm / 28mmスタート」という部分と「マクロ能力の差」になる。
使い始めてからこちら、今のところこれらは大きな障害にはなっていない。

使い勝手



基本的にAモードかSモード、Mモードしか使わないのでそのうえでの感想。

実にOlympus的。一言でいえばひどい。

撮影中頻繁に切り替える機会がある、「AFポイント指定」と「マクロ切り替え」が同じボタンに設定されている為、マクロ切り替えの際は最低3回ボタンをクリックする必要がある。もう少しどうにかできなかったのだろうか。
たとえば動画ボタンにマクロ切り替えを割り当てられるだけでぐっと使い勝手が向上するはずだ。

ISOオートの設定はあるものの、ISO200までしか上がらない。仕様的にはオートで800までらしいが、200より上に上がったのを見たことがない。
暗いシーンでは手振れ警告アイコンを表示しておきながら、200で踏ん張る。
たしかにISO400、800では画の荒れを気にする人もいるだろうし、明るいレンズを活用しろ、というのも分かるがオートを使うぐらいなのだからもっとポンポンあがってほしいものである。画質にこだわるならE-P3等のようにISOオート範囲を指定させるようにすればいい。

また、前面操作リングの回転方向がカスタマイズできない。
自分の感覚とは見事に逆方向なのだ。前面ダイヤルを採用したほかのメーカー機種ではカスタマイズができるようなのだが。

それから、これは機械的なつくりの問題だろうがモード選択ダイヤルが簡単に変わりすぎる。
鞄から取り出したらモードが変わっているなんていうのはしょっちゅうだ。

全体的にカスタマイズ性がなさすぎ、かゆいところに手が届かない。
他社製カメラを使った経験を元にすると「なんでこれができないの!?」というような壁にちょくちょくぶち当たる。
そんな感じである。E-P3だってそんな感じだからきっとOlympusの芸風なのだろうとあきらめるしかない。
E-P1、E-P3、XZ-1と共通に感じることであるがOlympusではきっと「そのカメラを使って実際に写真を撮ってみる」というよなUI評価を行わず、設計者の考えた「これが一番!」を採用しているのであろう。

欠点ばかり指摘してもよくないのでいいところも。

GX100に比べ、全体的な動作は圧倒的にきびきびしている。
電源ONから撮影可能になるまでの時間、ズーム速度、AF速度、撮影後の書き込み速度。
どれもストレスを感じさせない。RAWで撮影していても書き込みまちで待たされるようなことはほとんどない。
また、レンズキャップをつけたまま電源を投入すると勝手にキャップが脱落するのも便利。(欠点でもあってたまに鞄の中で外れている)

こと「設定を変える必要ない」撮影シーンにおいては非常に快適に撮影ができるカメラといえる。


写り



コンパクトデジタルカメラとは思えない圧倒的な解像感。
若干ダイナミックレンジが狭く白とびしやすいように感じるが、実用上問題はない。
ISO100~400は全く問題なく、800でも十分に実用になる。ISO1600も我慢できる範囲だ。
GX100は実質ISO400が限界だったのでこれは大きな違いである。

総評



惜しい。実に惜しいカメラ。UI系統さえ洗練されれば何も言うことはない。でもたぶん次機種でも洗練されない。残念である。
とはいえUIにさえ我慢すれば現状のコンデジではトップクラスの画をはきだすいいカメラといえるだろう。

SONYのRX100は1インチの素子を採用し、高画質を追及しているようなので気になる存在ではあるが、なにせ出たばかりで高い。
2012年6月現在、XZ-1は新品3万円前後で購入できる。コンデジという枠の中でこのコストパフォーマンスを超えるカメラはおそらく存在しない。
今現在「最新機種であることにはこだわらず、割安で高画質なコンデジが欲しい」人にはこのカメラをお勧めしたい。


おまけ



XZ-1を選んだ理由

現在ハイエンドに位置づけられるコンパクトデジタルカメラは各社からリリースされている。
これらの中からXZ-1を選んだのは以下の点からだ。
RICOH GRD-4 ... 単焦点ならE-P3+20mmを使うため、サブとしては立場が微妙。
Nikon P310 ... RAW撮りできない。
Canon S100 ... 24mmの画質がいまいちという情報が多い。また24mmはF2.0と明るいもののズームにしたがい並みの暗さになってしまう
Panasonic LX-5 ... 忘れてた
SONY RX100 ... 出たばかりで高い(XZ-1購入時にはまだ発売されていなかった)
Fuji X10 ... AF時にライブビューが固まるのが致命的に使いづらい

※本当のレンズ一体型ハイエンドという意味ではNikonはP7100、CanonはG1X、FujiはX100になるのだろうけどデカすぎて検討対象外

なんかLX-5の理由がひどい。でもなぜか忘れていたのだ。
質感や写りではX10はとてもとても魅力的だがシャッター半押しで一旦ライブビューの更新が固まるという動作仕様が受け入れられなかった。

いまからもう一度悩むならXZ-1とLX-5の一騎打ちになるだろう。


いいね!